グラフィックドライバーエラー「VIDEO TDR FAILURE (0x00000116)」完全解決ガイド!原因から対策まで徹底解説

2025-08-26Windows


グラフィックドライバーエラー「VIDEO TDR FAILURE (0x00000116)」完全解決ガイド!原因から対策まで徹底解説

PCを使用中に突然画面がフリーズし、ブルースクリーンに「VIDEO TDR FAILURE (0x00000116)」というエラーメッセージが表示された経験はありませんか?このエラーは、特にグラフィック負荷の高い作業やゲーム中に発生しやすく、多くのユーザーを悩ませています。

本記事では、「VIDEO TDR FAILURE (0x00000116)」エラーとは何か、その発生原因、そして問題を解決するための具体的な手順を、初心者の方にも分かりやすく解説します。このガイドを参考に、快適なPC環境を取り戻しましょう。

VIDEO TDR FAILURE (0x00000116)とは?

「VIDEO TDR FAILURE (0x00000116)」は、Windowsのブルースクリーンエラー(BSoD)の一種で、グラフィックドライバーが応答しなくなった際に発生します。

TDR (Timeout Detection and Recovery) の役割

TDRとは「Timeout Detection and Recovery」の略で、Windowsが搭載している重要な機能です。グラフィック処理装置(GPU)やそのドライバーが一定時間応答しなくなった場合、システムがフリーズするのを防ぐために、グラフィックドライバーを自動的にリセットし、回復を試みます。

しかし、この回復が失敗した場合、「VIDEO TDR FAILURE」としてエラーが表示され、システムが停止してしまいます。エラーコード「0x00000116」は、特にグラフィックドライバーが原因であることを示唆しています。

エラーの主な原因

このグラフィックドライバー応答停止および回復失敗のエラーは、様々な要因によって引き起こされます。主な原因を理解することで、適切な解決策を見つける手助けになります。

  • グラフィックドライバーの不具合:
    • ドライバーが古い、または最新の状態でない。
    • ドライバーが破損している、またはインストールが不完全。
    • 複数のグラフィックドライバー(例: 統合型と専用型)が競合している。
  • グラフィックハードウェアの問題:
    • GPU(グラフィックカード)のオーバークロックによる不安定化。
    • GPUの過熱(冷却不足)。
    • GPU自体の故障や物理的な接続不良。
  • システムリソースの不足:
    • 電源ユニット(PSU)の容量不足や劣化による電力供給不安定。
    • メモリ(RAM)の不足や不具合。
  • ソフトウェアの競合や破損:
    • DirectXなどのグラフィックAPIのバージョンが古い、または破損している。
    • 特定のアプリケーションやゲームがグラフィックドライバーと競合している。
    • Windowsのシステムファイルが破損している。

解決方法:段階的なトラブルシューティング

ここからは、「VIDEO TDR FAILURE (0x00000116)」を解決するための具体的な手順を、推奨する順番でご紹介します。焦らず、一つずつ試してみてください。

ステップ1: グラフィックドライバーのクリーンインストール

最も一般的な原因であるグラフィックドライバーの問題を解決します。既存のドライバーを完全に削除し、最新のものを再インストールすることが重要です。

  1. 古いドライバーの削除:
    • 「DDU (Display Driver Uninstaller)」のような専門ツールを使用すると、より完全にドライバーファイルを削除できます。DDUをダウンロードし、セーフモードで起動して、現在使用しているグラフィックカードのドライバーを削除してください。
    • DDUを使用しない場合は、「デバイスマネージャー」を開き、「ディスプレイアダプター」から該当するグラフィックカードを右クリックして「デバイスのアンインストール」を選択します。この際、「このデバイスのドライバーソフトウェアを削除します」にチェックを入れてください。
  2. 最新ドライバーのダウンロード:
    • お使いのGPUメーカー(NVIDIA、AMD、Intelなど)の公式サイトにアクセスし、お使いのグラフィックカードのモデルに合った最新のドライバーをダウンロードします。
  3. ドライバーのインストール:
    • ダウンロードしたインストーラーを実行し、指示に従ってドライバーをインストールします。通常、「クリーンインストール」または「カスタムインストール」オプションを選択し、既存の設定を上書きするようにしてください。
  4. PCの再起動:
    • インストール完了後、PCを再起動します。

ステップ2: Windows Updateの実行

Windowsのシステムファイルやコンポーネントの更新によって、グラフィックドライバーとの互換性が向上したり、既知のバグが修正されることがあります。

  1. 「設定」アプリを開き、「Windows Update」に移動します。
  2. 「更新プログラムのチェック」をクリックし、利用可能なすべての更新プログラムをインストールします。
  3. 更新プログラムのインストール後、PCを再起動します。

ステップ3: GPUのオーバークロック解除

もしGPUをオーバークロックしている場合は、それがシステムの不安定性の原因となっている可能性があります。

  1. 使用しているオーバークロックソフトウェア(MSI Afterburner、ASUS GPU Tweakなど)を起動します。
  2. すべてのオーバークロック設定を工場出荷時のデフォルト値に戻します。
  3. PCを再起動し、エラーが再発するか確認します。

ステップ4: GPUの過熱対策

GPUの過熱は、パフォーマンス低下やTDRエラーの原因となります。

  1. PCケースを開き、グラフィックカードの冷却ファンやヒートシンクにホコリが溜まっていないか確認し、エアダスターなどで清掃します。
  2. PCケース内のエアフロー(空気の流れ)が適切か確認し、必要であればファンを追加したり、ケーブルを整理したりして改善します。
  3. GPUの温度を監視するソフトウェア(HWMonitor、GPU-Zなど)をインストールし、負荷時の温度が適切(通常80℃以下)に保たれているか確認します。

ステップ5: 電源供給の確認

不十分な電力供給もTDRエラーの原因となることがあります。

  1. お使いの電源ユニット(PSU)が、グラフィックカードを含むシステム全体の消費電力に対して十分な容量を持っているか確認します。GPUメーカーのウェブサイトで推奨されるPSU容量を確認してください。
  2. 電源ケーブルがグラフィックカードにしっかりと接続されているか確認します。特に、補助電源コネクタ(6ピン、8ピンなど)は確実に接続されている必要があります。
  3. 可能であれば、別の電源ユニットを試すか、他のコンポーネントを取り外して消費電力を抑え、エラーが改善するか確認します。

ステップ6: システムファイルのチェック

Windowsのシステムファイルに破損があると、グラフィック関連の処理に影響を及ぼすことがあります。

  1. コマンドプロンプトを管理者として実行します。

  2. 以下のコマンドを順に入力し、Enterキーを押します。

    sfc /scannow
    DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth
    
  3. 各コマンドの完了を待ち、PCを再起動します。

ステップ7: TDR遅延時間の調整(上級者向け・慎重に)

注意: レジストリの編集はシステムに重大な問題を引き起こす可能性があるため、必ずバックアップを取り、自己責任で行ってください。

TDRのタイムアウト値を調整することで、グラフィックドライバーが応答を停止したと判断されるまでの時間を延長し、回復のチャンスを与えることができます。

  1. Windowsキー + R を押し、「regedit」と入力してEnterキーを押します。
  2. 以下のパスに移動します。 HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\GraphicsDrivers
  3. このキーを右クリックし、「新規」→「DWORD (32ビット) 値」を選択します。
  4. 名前を「TdrDelay」とし、値を「8」(10進数)に設定します。
    • これにより、タイムアウトが2秒から8秒に延長されます。
  5. 64ビットシステムの場合、同様に「QWORD (64ビット) 値」で「TdrDelay」を作成し、値を「8」に設定することも検討してください。
  6. レジストリエディターを閉じ、PCを再起動します。

ステップ8: DirectXの更新/再インストール

DirectXはゲームやグラフィックアプリケーションの基盤となるAPIです。問題がある場合は更新を試みます。

  1. Windows Updateによって通常は最新版が維持されますが、Microsoftの公式サイトからDirectX Runtime Webインストーラーをダウンロードし、実行して不足しているコンポーネントを補完することができます。

ステップ9: ハードウェア診断

上記全てを試しても改善しない場合、グラフィックカード自体の故障の可能性があります。

  1. 可能であれば、別のPCでグラフィックカードが正常に動作するか試すか、別のグラフィックカードを現在のPCに装着してエラーが改善するか確認します。
  2. メーカーのサポートに連絡し、ハードウェア診断を依頼することも検討してください。

注意事項

  • データバックアップ: 重大なトラブルシューティングを行う前には、必ず重要なデータのバックアップを取る習慣をつけましょう。
  • 焦らず慎重に: 特にレジストリ編集など、システムの根幹に関わる操作は慎重に行ってください。
  • 専門家への相談: ご自身での解決が難しいと感じた場合や、ハードウェアの故障が疑われる場合は、PC修理の専門家やメーカーサポートに相談することをお勧めします。

まとめ

「VIDEO TDR FAILURE (0x00000116)」エラーは、グラフィックドライバーやハードウェアに起因する複雑な問題ですが、適切な手順を踏んでトラブルシューティングを行うことで、その多くは解決可能です。本記事でご紹介した定義、原因、そして段階的な解決策が、あなたのPCトラブル解決の一助となれば幸いです。

焦らず、一つ一つのステップを丁寧に実行し、安定したPC環境を取り戻してください。


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